境界杭があるのに、お隣から「これは境界じゃない」と境界トラブルになったケース(後編) ~不動産売却での事例㊻~
昨日のブログでは、土地の境界トラブル前編として、境界の杭が正しい位置にあっても、お隣に「それは境界ではない」と言われ、トラブルになったというケースをお送りしました。
この境界トラブルはこの後どうなったのでしょうか?
解決しない・・・
前編のブログでのケースは、当社でも測量をした土地家屋調査士も経験ないことでした。
それでも何とか解決しようと、付き合いのある不動産会社や弁護士などの専門家にも相談しましたが、解決策を見出すことはできませんでした。
そして、土地売買の解約という話も出ましたが、買主さんは解約をしたくないとのこと。
それは、なかなか売りに出てこないエリアの物件で、どうしてもほしかったのです。
ただ、境界を確定しないまま引き渡すことはできません。
筆界特定制度
話は変わって、「筆界特定制度」があります。
法務局の筆界特定制度を利用すれば、相手が非協力的だったり、話し合いに応じてくれなかった場合、裁判をしなくても境界トラブルを解決することができます。
筆界特定制度は、新たに筆界を決めるのではなく、土地が登記された時の筆界について、現地の位置を土地の現地調査や測量などで調査して明らかにする制度です。
※筆界とは、土地が登記された際に、登記上その土地の範囲を区分するものとして定められた線です。
筆界の位置を示す証拠として活用することができ、境界トラブル防止や解決に役立ちます。
なお、筆界特定は、お隣の同意がなくても土地所有者の申請のみで行えます。
角度を変えた解決策
そんな中、不動産売買の経験豊富なS社長に聞いてみることにしました。
S社長も『扱ったことない』と答えるのかなと思っていました。
S社長「そのようなケース経験ありますよ。」
アクティバル「えっ、本当ですか!?このような場合、どう解決しました?」
S社長「その前に相手の主張する境界だと面積がどのくらい減って、売却金額はどのくらい下がりますか?」
アクティバル「約3㎡(0.9坪)減って、坪単価が70万円ぐらいなので、約65万円ぐらい下がります。」
S社長「今回のゴールは売主さんの土地を売却することですよね?この65万円のために時間と費用をかけて争いますか?それから、今は買主さんがいて、まだ待ってくれていますよね?」
アクティバル「そうですね。」
S社長「それでしたら、隣の方が言う境界を認めて、境界を確定してみてはどうでしょう。まだ相手の要求があって、それを受け入れれば境界を認めてくれるならいい方ですよ。前に相手の要求が全くなく、ただ境界を認めてくれないケースがありました。この場合は完全にお手上げでした。売主さんもアクティバルさんも納得いかない気持ちはわかります。でも、解決したいのであれば、少し角度を変えてみては?」
アクティバル「ありがとうございます。売主さんに話してみます。」
さすが百戦錬磨のS社長です。
希望が見えてきました。
なお、筆界特定制度はS社長から「筆界特定は使っても思ってる以上に時間と費用がかかるので、このケースでは使っても意味がないと思います。」と言われました。
隣が主張する境界に
売主さんにS社長の方法を伝え、「お隣の方の境界で確定してみませんか?」と話しました。
もちろん売主さんは納得していません。
ただ、買主さんのためにお隣の方の境界を認めるということになりました。
こうして、お隣の方の境界が境界となり、測量が終わりました。
売却も時間がかかり、トラブルになったので無事とは言えませんが、買主さんに境界が確定した土地を引き渡しました。
売主さんとお隣の方は、あまり面識がなく、近隣トラブルになったこともないのに、なぜこのような境界トラブルになったのかわかりません。
土地は売却できましたが、売主さんも当社もこの境界には未だに納得はしていません。
関連した記事を読む
- 2024/11/22
- 2024/11/17
- 2024/11/05
- 2024/11/02