共有者の1人が共有名義の建物を勝手に解体することはできるのか? ~実際にあった不動産の相談事例⑱~
建物が老朽化していたり、土地を売却するために建物を取り壊すことがあります。
建物の名義が1人の(単独)名義であれば、自分が所有している建物を壊すことは何の問題はありません。
しかし、共有名義の建物を取り壊す場合には、注意が必要です。
共有建物の解体
共有者の全員の同意がなければ建物を解体することはできません。
そのため、共有者の1人が、他の共有者に無断で建物を取り壊すことはできません。
一方、建物の滅失登記は、共有者の1人が単独で申請することができます。
建物の滅失登記は、建物を全員の同意で取り壊した後の滅失登記申請自体は、登記申請するべきことを申請するだけなので他の共有者にとって不利益はならないためです。
〇「建物を取り壊す」のは、共有者全員の同意が必要
〇「建物の滅失登記を申請する」のは、共有者の1人が単独でできる
このように、建物を取り壊すことと建物の滅失登記は扱いが異なります。
相続した共有の家を勝手に解体
以前、当社に共有建物の解体でお問い合わせがありました。
Aさん「親が所有していた実家を兄と共同で相続することになったのですが、私に何の相談もなく、兄のBが勝手に解体して滅失登記までしまったのです。このようなことってありえます?」
アクティバル「滅失登記は、Bさんが申請することはできます。しかし、家の解体は、Aさんも承諾していなければ(同意してなければ)、Bさんは、ご実家を取り壊すことはできません。ただ、解体屋さんは、依頼した人が『解体して下さい。』と言ったらそれに従うのがほとんどなので、実際、勝手に家を取り壊してしまうことができるのかもしれません。」
Aさん「そうですか。勝手に壊そうと思えば、できるのですね。それでは、兄には別の形で責任を取ってもらおうと思います。ありがとうございました。」
共有者の同意を得ること
当社にお問い合わせがあったケースでは、AさんとBさん両者の同意がなければどちらか一方が拒否している場合には、家を取り壊すことはできません。
なお、無断で解体してしまった場合は、損害賠償などの責任を負うことがあるそうです。
老朽化していて解体するしかなかったという理由もありますが、その理由では通用しないこともあります。
共有者の1人が勝手に建物を取り壊すことはできないので、共有の建物は、共有者の同意や承諾を得るなど、きちんとした方法で対処していくことが重要です。
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