後から建物に接続して作られたバイク小屋は登記しければならないのか? ~不動産売却での事例95~
住宅やビルは、不動産登記法上の「建物」であり、新築した場合は、登記をしなければなりません。
しかし、住宅とは違う物置やガレージは、形や状況によって登記の対象となることがあります。
そして、このような物は登記するのかしないのかが分かりにくいことがあります。
登記の条件
登記しなければならない建物の条件は下記の通りです。※引用です。
①土地に定着していて容易に移動できないこと(定着性)
②屋根および周壁などの外気を分断するものがある(外気分断性)
③その目的とする用途に供しうる状態にある(用途性)
④永続性があり、不動産として独立して取引対象となりうるものである
簡単に言うと、「土地にくっ付いていて、雨風をしのげる屋根や壁があって、利用方法に沿っていて、永続的に使用できて、不動産として取引される」建物は、登記する義務があるということです。
一方で、一定期間で取り壊してしまうもの、簡単に移動できるもの、単に据え置かれているものは、登記できません。
例えば、既製品の物置があります。
家に付いているバイク小屋
ある売主さんの家に接続された約10㎡のバイク小屋があります。
このバイク小屋は、ガラス張りで物置とサンルームを合わせたような造りです。
これは、売主さんが自分で後から作ったもので、この小さいバイク小屋は登記していませんでした。
これが登記の対象となるのか?で問題となったケースがありました。
このケースで、買主さんが融資(住宅ローン)を受ける際に、
「銀行からバイク小屋は未登記の増築部分として登記する必要がある」と言われるのではないかと買主さん側の仲介会社との間で話し合いになりました。
そして、登記してしまうと、建蔽率がオーバーして、違法建築となり、買主さんは銀行から住宅ローンが受けられないという結果になっていまいます。
登記しなければならないのか?
そこで、司法書士の先生に相談しました。
司法書士の先生の見解は、
「単にコンクリートブロックの上に設置されただけで、容易に移動することができる建物であることから、不動産登記上の建物の認定要件である定着性がないため、登記することができない建物と考えらる。」
との事でした。
また、銀行から登記をお願いされた時のために、司法書士の先生に上記を記載した登記しない理由書を作ってもらいました。
そして、銀行ですが、登記する必要はないという回答がありました。
これで、買主さんは、銀行の住宅ローンが通り、売主さんもバイク小屋のある家を問題なく売却することができました。
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