お隣のカーポートの屋根が一部越境していた際に取り交わした書面 ~不動産売却での事例145~
不動産での越境は、売却する際などに越境しているのが分かることが多くあります。
ただし、当面は越境の支障がなく、将来越境が解消すればよいとされることがあり、その際は書面を取り交わすのが大事です。
しばらく越境の支障がない場合
不動産での「越境」とは、家の一部やブロック塀、樹木の枝などが境界を越えてお隣の敷地に出ていることです。
越境は、目視や測量で分かることがあります。
しかし、越境は、通常所有者さんやお隣さんも認識していない(気づいていない)ことがほとんどで、売却などをする際に越境が判明することがよくあります。
なお、しばらく越境の支障がなく、将来的に越境が解消できれば良いとなるケースがあります。
このような場合、売買契約前か引き渡し前に、お隣さんと「将来建物を建て替える場合には越境を解消する」などのような内容の書面(合意書や確認書など)を交わすのが良いです。
また、書面には所有者が替わった時もその内容を引き継ぐという事も記載します。
このような書面を交わすのは、お隣さんと越境でトラブルにならないようにするためです。
将来は越境を解消するという内容の書面
実家を相続した売主Sさんは、住む予定がない実家を売却することにしました。
売却で土地の測量をしたのですが、お隣のカーポートの屋根が5センチほど越境していることが分かりました。
目視でも若干カーポートの屋根の越境が分かります。
ところで、売主Sさんとお隣さんは、カーポートの屋根が越境している事を初めて知りました。
一方で買主さんは、「しばらく越境の支障はないため、将来的に越境が解消できれば良い」という判断をしてくれました。
そこで、お隣さんとは、越境について下記の内容の合意書を交わしました。
〇車庫雨樋の一部が最大で約5㎝越境していることを両者が確認した
〇お隣が建物を建替える場合、雨樋や屋根等を越境しないようにする
〇両者が所有の不動産を売却等により第三者に譲渡する場合、第三者は合意内容を引き継ぐ
〇良好な相隣関係を築く
越境でトラブルにならないように
今回のケースでは、トラブルなく解決することができました。
ただ、不動産売却での越境は、「売却で越境をすぐに解決したい売主さん」と「急いで解決する必要がないお隣さん」とでトラブルにならないようにする必要があります。
越境は、越境している方が悪いと決めつけないで下さい。
越境でトラブルになる多くは、相手への言い方や感情のもつれが原因となることが多いのです。
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