住所変更登記と抵当権抹消登記の登記費用は「譲渡費用」になる!? ~不動産売却での事例152~
不動産を売却すると「譲渡所得」という税金がかかります。
譲渡所得は、売却代金から土地や建物を売るために直接かかった費用(「譲渡費用」など)を差し引いて計算します。
それでは、住所変更登記や抵当権抹消登記の登記費用は「土地や建物を売るために直接かかった費用」として「譲渡費用」になるのでしょうか?
譲渡費用とは?
不動産売却で得た収入(売却代金)から「収入を得るために使った費用」を差し引いて「譲渡所得」を出します。
不動産を売却して得た収入から差し引くことができる「収入を得るために使った費用」に「譲渡費用」があります。
この「譲渡費用」とは、土地や建物を譲渡(売却)するのに直接支払った費用を言います。
なお、「収入を得るために使った費用」には、「取得費」もあり、「取得費」は売却する不動産を購入した(買った)時の費用になります。
「譲渡費用」になる主な費用
下記は、土地や建物を売るために直接かかった費用で「譲渡費用」になる主なものです。
●不動産業者への仲介手数料
●売買契約書の印紙代
●土地の測量費用
●建物の解体費用
これらの費用は、収入(売却代金)から差し引くことができます。
住所変更登記と抵当権抹消登記
不動産の登記上に記載されている住所が現在の住所ではなく、前の住所になっていることがよくあります。
この場合、所有者の住所変更登記(登記名義人住所変更登記)をしないと、不動産を売却することができません。
抵当権とは、銀行がお金(住宅ローンなど)を貸して、土地や建物を担保にする権利です。
住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、買主さんが払う売買代金によって住宅ローンを完済して、抵当権を抹消する(抵当権抹消登記をする)必要があります。
住所変更登記も抵当権抹消登記も売主さんが負担する登記費用です。
住所変更登記や抵当権抹消登記は譲渡費用?
それでは、「住所変更登記」や「抵当権抹消登記」は、譲渡費用になる(売買代金から引ける)のでしょうか?
住所変更登記も抵当権抹消登記も費用がかかっているので、譲渡費用となりそうですが、「譲渡するための直接に要した費用」ではないとして「譲渡費用」にはなりません。
不動産を売却をするための必要な登記であるはずなのに、なぜ「譲渡費用」にはならないのでしょうか?
それは、不動産を売却しなくても不動産の所有者が申請する登記だからです。
つまり、不動産を売却をするための必要な登記ではなく、不動産の所有者が登記をしていなかったために不動産を売却するので必要となった登記という扱いになります。
そのため、たまたま売却するために登記をしただけとなり、「譲渡費用」とすることはできません。
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