売主がコンクリート境界杭を勝手に動かしたから本当の境界ではない!? ~不動産売却での事例137~
不動産売却でのトラブルで代表的なものの1つとして境界のトラブルがあります。
普段は境界が問題にならなくても、売却や測量の場面になると境界を巡ってトラブルになることがあります。
境界のトラブル事例で、お隣さんが「売主さんがコンクリートの境界杭を勝手に動かしたから今の境界は本当の境界ではない」と言ってトラブルになったことがありました。
コンクリート杭の境界を動かすこと
通常、敷地と隣地との境界には、上の写真のような四角いコンクリート杭の境界があります。
この境界杭は、「地震などの自然災害により位置が多少ズレることがある」という話を土地家屋調査士さんから聞いたことがあります。
それでは、人が境界杭を動かすことはできるのでしょうか?
コンクリートの境界杭を設置する場合、杭の下部をモルタルなどで固めるので簡単には人が境界杭を動かすことはできない(難しい)と思います。
一方で、測量した図面があれば、その図面と現地の寸法を比較することができ、明らかに寸法が違うのであれば、境界の位置を動かした可能性はあると思います。
しかし、寸法の違いがごくわずかであれば、測量での誤差の可能性が高いです。
なお、境界杭を動かす前の写真などがあれば、それを証拠にすることはできます。
「誰かが境界を勝手に動かした」
と言うだけでは、それを証拠とすることは難しいです。
売主が境界杭を動かしたから?
以前、当社であった境界のトラブル事例です。
売主さんとお隣さんとの間で両者が主張する境界の位置が違うという事でトラブルになりました。
売主さんは、
●お隣さんより前からその土地に住んでいるから境界
●新たな測量をして境界が変わったことはない
●今あるコンクリート境界杭の位置で境界は間違いない
と言います。
コンクリート境界杭の位置は、以前の位置よりも多少ズレがあるかもしれませんが、当社や土地家屋調査士さんが測量図などで境界の位置を確認しても売主さんの言う境界で間違いないと思います。
しかし、一方のお隣さんは、
「こちらが言う境界が違うのなら、〇〇(売主)さんが勝手に境界を動かしたからではないでしょうか?」
と言います。
ただ、お隣さんが言う境界の位置を証明するものはなく、売主さんが境界を動かしたという根拠となる証拠もありません。
お隣さんは、売主さんが勝手に境界を動かしたことだけを言い張ります。
この測量トラブルは、しばらく平行線で時間はかかりましたが、最終的にはお隣さんが折れて売主さんの言う境界で確定して解決しました。
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