市街化調整区域の空き家を売却する ~空き家の売却で実際にあった事例⑨~
「市街化調整区域」という言葉を聞いたことはありますか?
「市街化調整区域」を簡単に説明すると、「市街地=市街化区域」で「市街地以外の郊外=市街化調整区域」で、田舎と呼ばれるような地域は市街化調整区域が多いです。
ところで、市街化調整区域は生活に不便だったり、不利な条件が多いことから安く売りに出されることがあるのですが、市街化調整区域にある空き家は売れないと思っていませんか?
市街化調整区域の空き家を売却する問題点
空き家が市街化調整区域にある場合、空き家の売却ができないということではないのです。
市街化調整区域にある空き家の売買は自由です。
問題は売買した後です。
市街化調整区域は、「市街化を抑制する地域」です。
そのため、市街化調整区域では建物を自由に建てることができません。
新築や建て替えなどする場合には、行政から許可などを得る必要があります。
※申請して必ずしも許可されるとは限りません。
話は変わりますが、不動産を買う際には、住宅ローンを組まれる方が多いです。
土地と建物を担保に銀行からお金を借りることがありますが、市街化調整区域の物件は担保としての価値が低いため、融資がおりない可能性もあります。
そのため、ある程度の自己資金を準備できる買主さんでないと売れないこともあります。
なお、売買契約を結んだけれど、「住宅ローンが組めないから購入できない」という場合に売買契約を白紙に戻すことができるという住宅ローン特約があります。
せっかく買う人が現れたのに、住宅ローン特約で契約が解約となると、またスタートに逆戻りということもあるのです。
※買主さんにとって住宅ローン特約は有利な内容ですが、売主さんにとって不利な内容となる可能性があるのです。
このように市街化調整区域は、生活するのに不便なことだけではないのです。
市街化調整区域の空き家は調査から
市街化調整区域にある空き家を買った方は、原則家の建替えはできません。
それでも、「原則あるところに例外あり」です。
市街化調整区域でも一定の条件をクリアすれば、市街化区域と同じように建物を建てることができることがあります。
その条件とは、建物の規模・敷地の大きさ・居住者制限などがあります。
たとえば、居住者制限で言うと、買主さんやその親族がその市街化調整区域、または近隣する市街化調整区域に20年以上の居住経験があるといった制限です。
こういった制限は自治体によって異なっているので予め確認してみて下さい。
市街化調整区域の空き家を売却する場合は、まずは調査から始めて下さい。
なお、自治体で調べるには、越谷市であれば都市計画課や開発指導課などです。
その際、資料として謄本・公図・測量図などを持って行くのが良いです。
しかし、不動産会社に売却を依頼すれば、調査などは不動産会社が行います。
役所での調査や価格などの売却に関することを調べることはもちろん、謄本などの売却に必要な資料は全て不動産会社が用意してくれます。
そのため、市街化調整区域にある空き家を確実に売却するのであれば、不動産会社に依頼した方が良いです。
ただし、市街化調整区域の物件は、条件が不利なことや「価格が安い=仲介手数料が安い」ということで、不動産会社から売却依頼を避けられてしまうこともあります。
それでも、不動産会社によっては、市街化調整区域の物件に力を入れているところもあるので、そういった不動産会社を探して依頼してみるのもいいです。
買主さんの目的や用途は様々
市街化調整区域にある空き家だから売れないと空き家の売却を諦めていませんか?
これはもったいないことです。
市街化調整区域でも近年ではインフラ整備が進んでいるところがあります。
下水道が通っているところなど、決して不便な地域ではなくなっていることもあるのです。
また、最近では田舎暮らしを希望している方もいて、価格が安いとなれば買い手がいないとは言い切れません。
さらに、近所付き合いが面倒という理由で、家が少ない市街化調整区域にある物件を探している方もいます。
〇市街化調整区域は価格が安いため、購入へのハードルが低くなる
〇田舎暮らしを希望して人もいる
〇土地だけの利用で、住宅目的ではない方もいる(家を建てる目的ではなく、太陽光発電や駐車場など別の用途での購入)
当社では、売主さんから売却の依頼を受けた市街化調整区域にある空き家を建売業者・買取業者(空き家を買い取って、住宅を建築して販売(売却)する)に紹介して売却したケースが多くあります。
このように買主さんの目的や用途は色々で、市街化調整区域にある空き家でも最初から諦めないで売却活動をするべきなのです。
つづく
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